2000年の3月、私はシベリアのウラン・ウデという町にやって来ました。
バイカル湖の東側にあるブリヤート共和国の首都で、広い空と澄んだ空気がとても印象的でした。
ロシア語はまったく話せず、聞き取ることもできないままの渡航。
右も左も分からない新しい土地で、最初のうちは何をするにも時間がかかりました。
シベリアの夏は本当に短くて、9月の終わりにはもう雪がちらつきます。
「冬が来る前に準備しないとね」と、現地の友人たちがいろいろと助けてくれました。
一緒に冬用の靴や帽子を買いに行ったり、窓の隙間を埋めて冷たい風が入らないようにしてくれたり。
言葉が通じなくても、彼らの優しさがまっすぐ伝わってきました。
気温がマイナス40度まで下がったときもありましたが、不思議と不安はありませんでした。
あのとき感じたのは、寒さよりも人のあたたかさ。
シベリアで迎えた最初の冬は、私にとって“出会いの季節”になりました。